■容器入りの緑茶飲料は、最初に1985年に缶入飲料として発売されましたが、1996年には小型のペットボトル(500ml)がさらに発売されるようになり、手軽な飲み物として広く利用されています。また、最近では特保などで消費が急激に伸びています。そこで市販のペットボトルのお茶の特徴など述べたいと思います。またペットボトルはリキャップできるために、飲み残しを飲んだり、外出先で飲んだりすることが有りますが、開栓してからどのくらい日持ちするのか述べてみたいと思います。
■ペットボトルのお茶の製造工程でペットボトルのお茶は抽出する時の温度がおおむね低いようです。茶葉の浸出温度が低いことを「低温抽出」といいますが、多くの銘柄がこれに該当します。具体的温度が表示されていない銘柄もありますが、「低温」とは、玉露を淹れる温度である「60℃」以下としています。 低温で抽出するために旨味の成分のアミノ酸(テアニン、グルタミン酸、アルギニン)などが出やすいですが、各メーカーによって、そのアミノ酸の量自体にかなりばらつきがあるようです。 そのうちテアニンは緑茶に最も多く含まれているアミノ酸で、緑茶の旨味の主体をなしているといわれています。大脳に働きかけて、リラックスさせる働きもあります。 さらにお茶の味を引きしめるカテキン類も「タンニン」と呼ばれ、通常の抽出では緑茶に渋味を与えますが低温抽出茶は通常抽出茶に比べ、エステル型カテキンの含有量が少なく、渋味の強い成分が抑えられている傾向にあります。 カフェインやビタミンCについては、「通常抽出茶」と「低温抽出茶」との間に差はみられませんでしたが、特に、ビタミンCについては酸化防止剤として添加された分の影響があるかもしれません。
■ペットボトルは、その手軽さから、そのまま口をつけて飲んだり、持ち歩いたりすることがよく見られます。この場合、中身の飲料は開栓してからどのくらいの時間、保存がきくのでしょうか。 この商品の特性上、直に口を付けて飲みますので、特に暑い時期は口内の細菌がペットボトルのお茶に溶け込んで繁殖しやすくなります。一度開封したペットボトルのお茶は30℃で3日後にカビ発生が発生して濁っていまいます。さらに、カテキン類の酸化の度合いである、褐色度は30℃以上での変化が著しく、緑茶の水色の褐変が進んでいきます。従って、気温の高い夏季に飲み残しを常温で1日以上放置した場合には、品質保持上、良くありません。開栓後に飲み残しを保存する場合は、冷蔵庫に入れ、できるだけ早く飲みきる方がよいです。
■緑茶の旨味成分やカテキン類を摂取したい場合には、急須で淹れる緑茶が一番です。また、経済性や廃棄物のことも考え合わせると、小型PETボトルの緑茶は、できるだけ携帯用として利用するなどの使い分けが望ましいと思われます。