写真は蘭字のラベルの一部です

蘭字とはかつて輸出用のお茶のラベルのことを云いました。木版印刷の多色刷りで当時としてはかなり手の込んだ印刷でした。人物や生活や自然、動植物など広くデザインに取り入れられてアルファベット文字入りの華やかな日本の伝統文化と西洋の文化を融合させて様なデザインでした。 蘭字の小さな枠の中には、日本茶がどこの国に輸出され、どの港に運ばれていたかなどの情報が記されている荷札的な役割もあったかも知れません。美術的にも浮世絵師の存在や、絵に描かれた風俗、英文字の書体で時代や文化的背景を知ることができます。明治以降に外国との貿易が始まると日本は生糸と日本茶が主力の輸出品になり、日本茶は最初横浜港から輸出されていたが、静岡県の清水港から明治39年(1906)になってようやく輸出されるようになりました。輸出される茶箱はアンペラというムシロのような梱包材で包まれ、正面に薄い和紙で蘭字が貼られていました。当時はかなりの種類の蘭字があったことは想像に難くないと思います。